マサキがいなくなった後、真華はいつも泣いていた。


子どもながらに、失ったぬくもりに気づいたのだろう。


でも物心がついた頃にはもう忘れていて、彼女にとって父親がいないことが当たり前になったのだろう。


そんな娘がかわいそうで、あたしは真華をひとりで立派に育てるために一年前に独立した。


小さな喫茶店、“cafe MAKALIA”を開いた。


名前にマカを入れたのは、いつか彼が気づいて戻ってくるよう願いを込めて。


そう、あたしはいまだにマサキが好きなんだ。