久しぶりに淹れるカフェオレ。
でもあたしの手は作り方をしっかり覚えていた。
コーヒーとミルクの割合や、砂糖の量。
店長が褒めてくれたあたしのカフェオレは、あたしにしか作れないんだ。
それを好んで飲んでくれる人がいる。
そう強く感じて、あたしは幸せに感じた。
またこの喫茶店に戻らなくちゃ。
あたしは出来上がったカフェオレをお盆に乗せ、おじいさんの座るテーブルへ持って行った。
「どうぞ」
少し震える手でおじいさんの前に差し出した。
おじいさんは軽く右手を上げて、前と変わらない“ありがとう”のポーズ。

