「あぁ〜、赤ちゃんだぁ」
「名前なんていうんですか?」
「真華ちゃんです」
すでにデレデレの店長。
興味深そうに真華をのぞくアルバイトの子。
なぜかあたしが恥ずかしくなってしまった。
「そうだ、見て。あっちの席」
「え?」
店長が指差す方に視線を向けた。
「あっ……」
そこを見て、あたしの目から涙が溢れた。
そこに、一番奥の席に座っていたのはあのおじいさん。
おじいさんは無愛想な中に優しさを持ってあたしを見つめた。
「待ってたよ」
一瞬にして表情が和らいだ。
「あ、ありがとうございます」
あたしの足は勝手におじいさんのもとへ近づいていく。

