「雪乃!」 愛しい声が、あたしの名前を呼んだ。 振り返ると、彼が手を振りながらあたしのもとへ走り寄ってきた。 「亮也」 「ごめん、遅くなって」 顔の前で手を合わせ、反省顔で謝る彼。 「いいの。実はあたしも遅れちゃって」 「そっか、良かった。んじゃ行こっか」 「うん!」 あたしは亮也の腕に掴まり、二人で歩き出した。