ホームレスな御曹司…!?

「風邪ひくと、またもらいたくなるだろ?」


「え?」


「ウィルスのキス感染」


「…!?」


「…プッ。知香っておねだりするほどキス好きだから、な?」


「言わないでくださいっ!は、恥ずかしいしっ!」


「だって、ホントだろ?」


うぅ…。


ここにきてもやっぱり主導権は近文さんで。


あたしは吐き出したい気持ちを飲み込んでしまう。


「オレん家、行くから」


静かに走る車、時々ウィンカーの音、何もない会話。


あたしの頭の中は破裂しそうな記憶の中のキスばかりで。


早く切り出してしまいたい心の叫びを置き忘れそうになるけれど。


バッグを持つ手に力を込めて、気持ちを決める。