ホームレスな御曹司…!?

20分程待って、見覚えのある長身の影。


「知香」


呼ばれた甘めの透き通った声が、あたしの心を震わせる。


もうすぐ終わってしまうこの恋に怖じ気づく。


でも、あたしは決めたんだ。


溢れるこの想いを。


この人に。


あたしの前で立ち止まった近文さんは切り揃えたばかりの髪に触れる。


「少し切ったんだな?」


「…ハイ」


「てか、髪スゲー冷たいんだけど。いつからここにいた?」


「昼間から…ずっと…」


「バカか、オマエは。風邪ひくだろ」


「だって…帰れなくて…。ここに居たくて…」


「車、乗れ」


そう言って溜め息をつきながらあたしの手を引いて、近文さんは公園の前に止めてある車の助手席のドアを開けてくれた。