「あたし、嫌じゃないよ。西口君の事。むしろ、好きだ。」
「え。」
こっちを大きな瞳でまっすぐに俺を見ながら、ゆっくりと淡々と話す葵。
「西口君はもちろん、お姉ちゃん、お母さん、お父さん、先生、友達それに…藍沢君も。あたしは、みんなみんな大好きだ、いっぱい、いっぱい。」
「…。」
ひとつひとつの言葉を噛み締めて話す葵に俺は、改めて葵をすごいと思った。
“言霊“っていう言葉があるけれど、その言葉は、まさに葵のための言葉だと思った。
それ程にまで葵の話す言葉は、何かが宿っているように、俺の心の中にスゥと入って行った。
ガラガラッ。
あ、帰って来たよ。葵。
お前の大好きな人が。



