目が覚めると
朝ごはんの匂いが漂ってきた

何か、夢を見ていた気がする
暖かくて 悲しい夢・・・

「お姉ちゃーん?起きたのー?起きたんだったら、早く下に降りてきてよー、朝ごはん出来てるよー!」

下から 美琴の声が聞こえた

「うん 今いくー」

下に降りると

美琴がエプロン姿で立っていた

「早く座って!目玉焼き冷めちゃうよ」

目の前にトーストと目玉焼きが1枚ずつ 湯気をたてて置かれた

「そう言えば、お姉ちゃん今日仕事遅くなるんだよね、はいお茶」
「ありがと」




私達は双子

姉は私 咲原 真琴
妹は  咲原 美琴

みさぎ村の生き残り・・・


みさぎ村は山に囲まれた100人くらいの小さい村
近隣の、村との交流はほとんどなく、でもそのせいか村人は互いに助け合って生きてきた

平和な村だった、村人は優しく親切で古くからのシキタリをまもっりながら暮らしていた
あの日までは・・・

あの日は私たちの、7歳の誕生日だった祖母と母と私たちでケーキを囲んで、でも、なぜか祖母と母は悲しげだった・・・

だけど幸せな時間は、玄関のドアを激しく叩く音で途切れた
それからの事は、私も美琴もよく覚えていない
気がつくと、燃え盛る村をただただ見つめていた




「ねぇ、美琴 黒ノ・・・」

♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪~

「はい、もしもし咲原です。あ!ナギお婆さんですか、お久しぶりです」

ナギ婆?


ナギ婆は、私たちの祖母の姉で 家族をなくした私たちの面倒を見てくれた人・・・




「はい、その節はどうも、はい、はい元気にしてます。え?・・・あ、はい。分かりました。・・・もしもし?はい、そうです・・・・・・・ええ、分かりましたお待ちしております」
「どうしたの?今の電話ナギ婆からだよね?」
「うん、ちょっと会って欲しい人がいるって」


!? あってほしい人?


「会って欲しいって・・・ それってお宮居?私も一緒に会おうか?」
「え?ああああ、違う違う。それに仮にそうだとしても、お姉ちゃんも一緒に会う必要はありません!あんまゆっくりしてると 会社遅刻しちゃうよ」








お姉ちゃんは仕事に送り出したし
家事も一通り済ませたから
ちょっとゆっくりしよう・・・

ソファーに寝転がりながらふと、窓の外を見る

雨、降ってきそうだな・・・
お姉ちゃん、ちゃんと傘もっていったよね



お姉ちゃんは15年前の夜をよく覚えてないらしい
でも、それでいい・・・
お姉ちゃんは覚えてなくていい
お姉ちゃんは知らなくていい

「間 正人」

ナギお婆さんから連絡があった
15年前のことを調べてる記者
私たちに、話を聞きたいらしい

そう言えば前にも同じようなことがあったっけ・・・
たしか、
彼女もフリーの記者だった・・・
名前は 工藤 明日香