「…言えねぇ」 「お前その喋り方どうにかしたらどうだ」 「はあ?」 「男みてぇ」 「男やってんだから仕方ねぇだろうが」 「ふぅん。…で、何だって?」 あぁ…あたしの嫌いなタイプその1。 人の話を聞かない男。 「言えねぇっつったんだよ!!バカ死ねっ」 その言葉と同時に、あたしは思いっきり樹の足の甲に踵(かかと)を振り落とした。 「…ってぇえっ!!」 樹に隙が出来た瞬間、するっとあたしは樹の腕から逃れた。