ヨーロピアン・ナイト

「何があったのだ?私に教えてくれ。」

カトレアは、近くにいる召し使いに尋ねた。

「カトレア王女様、わたくしにも分かりません。何かが勢いよく割れる音がしたのですけれど.....。」

カトレアはうなずいて、「そうか.....。」と、けげんそうに呟いた。

「王女様申し訳ありません…。心配させてしまって......。こちらでなんとかしますので、お部屋でお休みなさってください。」

召し使いは申し訳なさそうに言った。

そんな召し使いに対し、カトレアは「いや、なにもお前が謝ることはない。」と、至ってクールに返事をする。

カトレアの父母は、彼女が幼い頃に事故で亡くなっている。そのせいか、カトレアは美しく可愛らしい容姿とは裏腹に、性格は、何事にもそう簡単には動かされない冷静でクールな王女様へとなってしまった。
まぁ、それが悪いことではないのだが......。

「とにかく王女様、このへんは危ないと思いますわ。また何かあるかもしれませんし......。」

「まあそれもそうだが......。私はこの国の王女なのだし。」