ヨーロピアン・ナイト

「キャアアアアアッッ!!!!」

王宮の中の、和かな雰囲気が一気に激変し、貴婦人たちの悲鳴でうめつくされてゆく。

するとーーーー......。


「どうしたのだッ!!」

物が割れるような音と、女たちの悲鳴と、召し使いの騒ぐ声を聞きつけたのか、ある一人の女が現れた。

彼女の名は、カトレアだ。

カトレアは、このイギリス王国の全てを担っている王女である。

年の頃は、17、18といったところだ。

艶のある金髪をゆるやかに巻き、腰の辺りまで伸ばしている。

くりくりとした大きな瞳。真っ白な肌。

頬はほんのり薔薇色(バラいろ)にそまっている。

そして、フリルをふんだんに使ったブルーのドレスで、メリハリのついている身体を覆っている。

ものすごく美少女で、いかにも王国の頂点に立つ者といった感じだ。