遠い距離



色々反論は言いたかったのだが、下を向いて黙っていた西條の言葉によって遮られた。


というより言えなかったと言う方が正しいかもしれない。




「先輩が私と付き合ってくれたら教えます。」




照れて斜め下を見ながらポツリと呟いた姿に―髪型がストライクなためか―不覚にも少し心を動かされた。


いつもなら『そうか』とあっさり切り捨てるはずが、




「あ、あぁ…」




情けない声しか出て来なかった。