遠い距離



「こんなにぐっすり眠っちゃて…お友達が来てくれているのにねぇ…」




お友達じゃないんです。本当は初対面で相手は俺のことなんて知りもしないんです。
そう言いたい衝動に駆られたが、なんとか喉の奥で抑えた。


これ以上ここに居たら、余計なことを口走ってしまうかもしれない。


俺はゆっくりと席を立った。



「樹君、いる?」



なんというかすごいタイミングで赤城さんがやって来た。



「あらあら…赤城さんまで…」



香奈恵さんの表情が少し綻んだ。