遠い距離



もし、俺の前に携帯が転がって来なかったら、


もし、携帯を拾った時、沙羅さんからのメールが来なかったら、


もし、俺が沙羅さんに少なからず特別な想いを抱かなかったら、


もし、川星さんの両親の名前が分かっていたら、


もし、赤城さん以外の人に電話をしていたら、




―――…2人がメールで語り合うことなんてなかったのに…


俺が初めて恋をすることもなかったのに…





でも、これらの全ては俺の中でキラキラと輝いていて…決して嫌なものなんかじゃない。