彼女に会ってすぐに事実を話していれば、 彼女のメールの話を聞かなければ、 彼女に川星さんの話を振らなければ、 落ち着いて話すために場所を変えようなんて言わなければ、 ―――…俺は話すことができたのに。 そう、俺は彼女に結局何も伝えることができないまま別れ、帰路に着いていた。 一度もあのノートに触ることはなかった。 何も出来なかった俺は、やっぱり1人電車の中で溜め息を零すことしか出来なかった。 不思議なことに今日、彼女からのメールはなかった。