「いよーーーっ!ジロウ、おげんこ?」

村に着くなり声をかけて来たのはアキラ、お調子者でジロウとは同い年だ。

「あれ?何持ってんの?」

アキラがめざとく肩の上に目を向ける。

「ああ、森で拾ったんだ、珍しい色してるだろ?」

ほぇ~、と間の抜けた声を出しながらさも珍しそうに見るアキラ。

軽くつついてみたり、匂いを嗅いでみたり、そうかと思えばいきなりニヤニヤしてみたり、アキラは実に表情が豊かだ。

「・・・・・・で、どうすんの?コレ」

当然の疑問質問だろう、想定内の質問だがあいにく答えは用意していない。

いかんせんジロウも明確な考えがあって持って帰ってきたわけではないのだ、見てしまった限りは放っておけない、このお人好しが考えたのはその程度のことだった。

「食べんの?」

アキラが目をキラキラさせて聞いて来る。

このお調子者の食いしん坊にしてみたら、どんな物も食料でしかないらしい。

「うーん、でもさ、変な色したヤツは毒あったりするだろ?こんな色の動物見たことないし、ちょっと食べるのはこわいかな」

「確かに」

「それよりさ、こいつ育ててみようと思うんだ」

「育てる?」

「ああ、なんか面白そうじゃないか?」

少し考えた後にアキラはジロウを見てニヤリと口角を上げた。

ジロウもまた同様に。

それは無言のYesに他ならなかった。