「あたしのお姉ちゃん、里奈っていうんだけど、4年前に交通事故で死んでるんだ。」
里乃の顔には何も感情が浮かんでない。
4年前。里乃はその頃から表情が少なくなった。
「……。」
榊原チャンは何も言わない。
それが賢明だと思う。
「道路が雨に濡れててさ、スリップしたトラックがお姉ちゃんに突っ込んできた。その時真横に、手が届くところにいたのが、飛鳥クン。」
「え…?」
榊原チャンは目を見開く。
俺は見てることしかできなかった。
「助けれなかった、って。今でも苦しんでる。『里奈の未来を奪っといて幸せになれない』って。」
4年前が思い浮かぶ。
泣いてた。
喚かずに静かに。
俺も、飛鳥も、里乃も。

