「…あたし、その榊原サンに会ってみたい。」
「榊原チャンに?」

 ズズーとジュースを飲み、空になったのか里乃はストローから口を離した。
 ストローの飲み口が噛んである。これは昔からの里乃の癖。

「そう。なんか、榊原サンだったら飛鳥クンを説得できそうなんだよねー。」
「そうか。だったら今から呼ぼうか。」
「よろしくー。」

 里乃の間延びした声を聞きながら俺は榊原チャンに電話をかけるために立ち上がった。
 ここだったら煩くて電話できないから。