間にいる空良の分だけ向こうから手が伸びてくる。
髪を梳くように頬をなぞる優しいての感触に、心臓がドキドキと忙しなく鳴る。
こんな静かな場所じゃ、唯也に聞こえちゃいそう・・・
そんな心配をしていると視界が影で覆われた。
ふわっと唇に柔らかい感触。
今度は幻なんかじゃなくて、ちゃんと触れてるって分かる。
きゅんと胸が痛い。
押し付けられるようにして触れた唇がそっと退いて、
歯がゆいような感覚に襲われる。
キスなんて所詮口同士が触れ合うだけの行為だ、とか。
映画みたいにキレイで格好イイキスがしたいだとか・・・
これまでそんなことを考えていたアタシは、アホだ。
そんなんじゃなくて・・・・
もっと触れて欲しい。
触れたら、簡単に分かってしまった。


