だけどそんなコトも直ぐに考えられなくなった。 唯也の顔が近づいて来て・・・ 拘束されてるワケじゃないから逃げようと思えば逃げられるのに 逃げられない。 それはプライドとか意地とかじゃなくて・・・ その時 玄関が開く音がして「ただいまぁ」とまりママの声。 ゆっくりと退く唯也を押しのけるようにして、アタシは玄関に走った。 心臓がバクバクして顔が熱い。 今 ―――触れた? それとも触れたのは吐息だった? 錯覚くらいに不確かな感触だけが唇に残っている。