『透雨炬様、山吹が帰って来たのですが いかがなさいます?』
金の髪に蒼の双眸をした女が問う。
しばらくして布団がゆっくりと剥がれ女の主らしき少女が目を開ける。
「おはよう 山吹呼んできてくれる?」
『はい。』
女が出ていって数秒で今度は男と共に現れる。
「で どうだった?」
『都で鬼がでた、と噂に聞いた』
「噂、ねえ。…それが陰鬼[オニ]かもしれないと?」
透雨炬の言葉に山吹、そう呼ばれた金の髪に山吹色の双眸の男は言った。
『実際 見てみぬとわからんがな。どうする、透雨炬。』
女と違いずいぶん不遜な言い方だ。
「行くさ。それが今できることだしね。山査子」
透雨炬は女の名を呼んだ
『はい。』
「僕は東を行くから山吹と二人で西を行ってね。『透雨炬様ッ!!』…山査子、命令。」
『ッ、承りまして 透雨炬様』