「っていう感じで、私自身の高校生活は始まったの」

「…恋ヶ窪さん…、自身の…」

「そ。貴方は、いつから始まった?」



歩美は思う。

きっと、まだ、始まってすらいない。

あたしは、ハリボテだ。





今日借りた、千鳥美羽の写真詩集を理解出来たら、あたしも始まるんだろうか。

…あたし自身の、高校生活が。





「…おやすみなさいです。…お話、面白かったです」

「そ。ありがとう。おやすみなさい」



歩美は瞼を閉じた。