歩美は肩を落とした。



「…なんで、居るのよ…」



屋上の中央辺り、前回と同じ場所に、蒼意は横になっていた。

つかつかと歩み、蒼意を見下ろした。



「おはよう。のっぺさん、今日は早いね」



蒼意はさして驚いた様子も無く、そう言った。



「いつも、いつから、こうしてるの?」



蒼意は自らの左手首を指した。

歩美は察した。

時計を持ってないってことか。

…ん?





左手首を指す蒼意の右手首には、腕時計が巻かれていた。



「馬鹿にすんなっ!」



蒼意はふにゃりと笑った。