早朝、歩美は家を出た。

足を向けた先は、学校。

早足に校門を潜り、屋上への階段を昇る。





歩美はこう考えた。

空知くんがなにを見ているのかを知るには、空知くんと同じことをすればいい。

早い時間なら、きっと、空知くんは居ない。

見付かることもない。





空知くんのこと、知りたいの?





確かにそうだけど、色っぽいもんじゃない。

「彼を知り、己を知れば」ってやつだ。



ヤツは、私の仕事を増やす、敵だ。

考えや感情を理解すれば、対策を練ることが出来る。





歩美はほくそ笑み、屋上への扉を開けた。