愛歌は珍しく、眉を寄せ、怒った様な顔をした。



「…ここにいたいと言った、貴方は、どうなるの?」

「…また、すりつぶされます。あの人に」



愛歌は俯いた。

前髪が、その相貌を隠す。

歩美は思う。

失望させてしまっただろうな。

あたしを見つめてくれた、この人を。

…でも、あの人の意思には、逆らえない。

愛歌の口元が、僅かに動く。



「…そう」

「…はい」



愛歌は顔を上げ、優しい声で言った。



「さあ、布団を敷いて、寝ましょうか」