君が見上げたあの空は

響はなんども、頭を下げた。



「ありがとう、ありがとうっ!」



歩美には、もう一つ、気になるところが有った。



「…そういえば、さっき、旅って…」



響は目をぱちぱちと瞬かせた。



「変な表現だったかしら。貴方のお知り合いも、そう言っていたし、私も、ぴったりの表現だと思うのだけれど」

「空知くんが…?」

「ええ。リクエスト用紙に、旅立ちたいって書いてたの」



歩美は頭の中で繰り返した。

空知くんが、旅立ちたい…。