その後の授業は全部マトモに受けていない。ずーっと「あの人」のこと考えてて、先生の言ってることなんか、耳から入って抜けていくのを繰り返してる。






あーあ、あの人に逢いたいなぁ。







「誰に?」







『え!?』







過剰反応したあたしに、一瞬驚いた顔をしたのは、親友の茜光流(あかね・ひかる)。






確か、お父さんが有名な整形外科の先生で、お母さんが女優なんだっけ。







「桃彩さぁ、さっきから考えてること全部口に出てたよ?そんなにあの人に逢いたいの?」








『う、うん。だって一瞬で打ち抜かれちゃったし。』






「少女マンガじゃあるまいし、感動の再開!なんてありえないでしょうが。」






それが…出来ちゃうから困っちゃうんだよねぇ。





今だって、「あの人の所に行きたい」って思えば飛べるワケだし。