それでも僕らは


携帯を見た先輩は、驚いた顔もしないで、

「友達からだ。

ちょっとかけ直して来るね。」

ってまた、部屋を出ていった。


きっと、先輩は百合菜とまだ関わりを持っている。


廊下で電話しているからドアを少し開ければ会話は丸聞こえだった。

「うん。大丈夫だよ。

並木は今、部屋にいる。

うん。しないってセックスなんて。

俺は百合菜のモノなんだろ?

俺が愛してるのは百合菜だけだから。

百合菜が言うから並木と付き合ってるだろ。な?」


これは、浮気なんじゃない。裏切りなんじゃない。

先輩は悪くない。

私も悪くない。


だめ…、今泣いたらダメ。

会話聞いてたのバレちゃうから…。