桜side
「落ち着きましたか?」
ぼーっと、魂の抜けたように布団の上に座り込む沖田さんにそう言葉をかけた。
あの後、沖田さんはすぐに刀をしまってくれた。
「日に日に弱くなってるのが、わかるんだ」
沖田さんさんは不意にそんなことを呟いた。
「刀を握るこの手の力、腕の力、踏み出しの一歩。全てに力が入れられなくなる。」
消えてしまいそうな声。
「新撰組は今、戦ってる。僕だって戦いたいのに、みんなを護りたいのに。思いは何も変わっていないのに。」
なぜか聞いている私のほうが泣きそうになるほど、切なかった。
自分一人だけ、無力であることがどれだけ悲しいことであるのか、私にはそれがわかるからかもしれない。
新撰組が今何をしているかなんて、知らない。
どこにいて、どこで戦って、誰が死んでしまったのかさえわからない。
「命はいつだって捨てられる!覚悟だってできてた!なのに、なのになんで僕だけなんだよ!」

