「いいか?気をつけて行くんだぞ?
これを松本良順医師に見せれば色々と手配してくれるはずだ。」
そう言っておれは胸元からさっき大急ぎで松本氏に宛てた桜を大阪へと送ることについて書いた書簡を渡した。
そして、そのまま俺は桜を腕の中へと納めた。
「途中で襲撃あっても俺はもう守れない。」
トクントクンと俺の心臓が脈打ってる。
「本当は護送してやりたいとこなんだけどな」
そう言って腕に力をいれる。
桜ってこんなにもちっさくて、細っこいのな。
総司、これぐらいは許せよ?
この感覚を忘れないようにと、俺は身体全部で桜を感じた。
「大阪も戦場になると思うが…」
一呼吸おいてから、桜を離し見つめた。
「死ぬなよ」
そうだ、生きてくれ。
お前は死なないでほしい。
たとえ独りになっても孤独になっても、
お前が死ぬ必要なんてないんだよ…

