そうだ、淀まで下ろう。 淀藩は現老中である稲葉殿がいる。 推されたらそっちの方へと後退すればいい。 なんとか、なりそうだな。 「土方さん」 戸の向こうから、俺を呼ぶ声が聞こえた。 こんな夜に何の用だろうか。 まあいい。 「なんだ?入って来い。」 障子の開かれた先には盆にお茶を二つ乗せた桜がいた。