眠る前に少し会いたい、

そう思って沖田さんの部屋の前まできたんだけど





「総司さん、
絶対に明日の隊務は休んでもらいますからね」



「嫌だよ、明日も明後日も
僕は隊務を休むつもりもないし
病のそぶり一つ見せるつもりはないよ」



「でも…」




「五月蝿いな、僕は新撰組のためなら…

命だって捨てられるんだよ」




キーンと耳に響いた。

部屋の中には入れなくて、ただ障子ごしに話を聞いていた。


沖田さん…そんなこと言わないでよ





「…そんなこと言わないで。私、総司さんに死んでほしくない」



椿さんの、声ーー。




「命を捨てるなんて、言わないで」





私が言いたいことを、

伝えたいことを、


椿さんは全て言う。




私は今まで『死なないで』なんて言えなかった。




ずっと沖田さんのことを心配していたけど
安静にして、なんて言ったことはない。




ずっと、ずっと思ってたよ。


だけど言えなかったんだ。






これが、桜と椿の違い……