「桜…」 そう言って隣にいる左之さんが急に立ち止まったから、 私も自然と歩みを止めた。 「…何ですか?」 「お前…さ、もしかして…」 左之さんはそこまで言ってやめた。 「いや、やっぱなんでもねえわ」 いやいや、そこまで言ったなら言っていただきたい 変に気になってしまう。 「何です?気になります」 「いや、いいんだ。気にするな」 何もよくないですが… 本当に何も言うつもりはないのか、 左之さんはずっと黙ったままで、 暫くの沈黙が続いた。