倒れた机を起こそうとした時。
隣の椅子が今岡さんによって大きく振り上げられる。
私はとっさに目をつぶった。
「はい、ストーーーーップ」
…え?
今岡さんが振り上げた椅子は何者かの手によって止められていた。
「今、やめてって言ってたよね?それなのにまだやるの?」
そこには三人の男子生徒がいた。
いつもは見ているだけのクラスメイト。
「…なんで…?」
「…君がやっと戦う気になったからだよ」
一人がそう答えた。
「最初から手を貸していたら意味がない。そうだろ?」
「ま、そんな感じかな。抵抗しないと嫌なのかどうかすらわかんないじゃん」
「今岡さん、もしこれ以上ひどくなるようなら…知らないからね?」
止めていた椅子を静かに下ろしながら男子生徒の人が言った。
あとの二人が私の手を掴み、スッと立たせる。
「君のことはまた僕たちが護ってあげる」
【完】

