ガラリと病室のドアを開けて入ってきたのは、お母さんとおばあちゃんと。
そして…
「お父…さん?」
「なんだ、お父さんを死人でも見るようにみやがって…」
どうしてお父さんがいるの?
私が幕末で過ごしている間に一体何があったのか。
家族みんなが安堵の微笑みを浮かべながらこちらへと駆け寄る。
お母さんなんか泣いてるし。
「ほんと生きててよかった」
そう言ったおばあちゃんの言葉に胸がツキツキとした。
「おばあちゃん、ずっと桜のこと探してたんだぞー!俺たちよりも必死にな」
「本当に…電話繋がったと思ったら京都とか言い出すし…」
そういえば幕末にいた時におばあちゃんと電話したな、なんて思い出す。
「受験疲れかしら?ちょっと出かけるって言ってお家に帰ってこないもんだからお母さんもみんなびっくりしちゃったわよ」
受験疲れ?
私、まだ受験生なの?
幕末に初めて行ったのが高校三年の夏。
もしかして、今もーー……?

