「土方さん…私、ずっと死んだっていいって思ってました」



「どうした?急に」





「大義のためとか誠とかそんなの関係なく、私の命なんてあってもなくてもどっちでもいいって考えてたんです。」




高い位置に髪を結び直す。


これからの出陣に気合をいれるように。




「だけどこの時代の人と過ごして、私、初めて命の尊さを知ったんです。」




そう、この時代に来て初めて知った。


初めて感じた。


心の底から生きようとする人々の強さ。


自分の意志のため生きる人々の強さを。


そして、命の儚さを。








「私、生きたい。」




こんなところでみんなの思いを無駄にするわけにはいけない。


「…ったりまえだろ。お前は何があっても、俺が死なせない」




「…土方さんも…ですよ」




私がそう言うと彼はフッと笑った。







「さあ、出陣するぞ」