桜side
会津が落ちた、ということを知ったのは仙台に着く少し前だった。
斎藤さんはどうなったのかなんてわからない。
そんなことよりも大変なのは会津が落ちる前につけなかった故にか、仙台藩、その他の付近の藩が寝返ってしまったことだった。
「土方さん、私たちどうすれば…」
馬に乗り、あてもなく走る。
「……函館だ」
そう一言返ってきた言葉に、ぐっと唇を噛みしめる。
「それって…北海道……」
最後の、戦い。
「ん?なんか言ったか?」
「あ、いえ。なんにも…」
未来を知っていることを後悔する。
一層の事ならこの時代で生まれ、この時代を行きたかった。
それならこんなに先のことを考えて悲しい思いをせずにすんだのに。