「…っ。」
どうしていつも俺の大切な人は俺を置いて先に行ってしまうのだろうか。
どうしていつも俺は大切なものを守れないのだろうか。
どうして俺は…
こんなにも無力なのだろうか。
「…ちっ。自分の弱さに反吐が出る。」
つうっと目からこぼれ落ちるのは一体何なのだろうか。
総司を失った悲しみか。
自分の無力さへの怒りか。
「総司。」
よく考えればお前とはもう数十年いたことになる。
出会ったあの頃がつい最近のように思えて仕方がない。
自分が武士になれるなんて思ってもみなかった。
こんなにも大切なものができて、
それを守ろうと思えるなんて思ってもみなかった。

