忘れないで、とは言わない。





残される辛さは僕も十分に知っている。


それゆえ、僕は君に僕のことを忘れてほしいとさえ思う。





「総司…」




桜が僕の名を呟く。


それさえも愛おしすぎて涙が出る。






「な…に?」




「私、総司のこと忘れない。」







その言葉に僕は薄っすらと笑った。




その言葉ほど僕を救ってくれるものはない。



僕はたった一度でも君の「忘れたくない思い出」になれたことだけでとても幸せだった。






ほら、君といると僕はいつも幸せだったよ。





ありがとう、桜。