「やっとうまくいったね〜」

窓の桟に手をかけ空を見上げながら口元を緩ませる。


「そうだね。俺たちの役目も終わりかな〜」


ピアノの台に触れながら口元を緩ませる。


「うん。そろそろ行かなきゃね。別れなんて言わないけど、忘れないでいてほしいね。」

空を見上げたまま、まだ仄かな笑顔を見せている。


「忘れないよ。きっと。俺たちが忘れない限り。」

ピアノの弦に触れながら口元だけを綻ばせる。


「うん。そうだと…いいんだけど。」


顔が床をみている。さっきとは違って少し表情が曇った。そして暫く沈黙が続いた。

)リーンゴーン…

そして聞こえるはずのない音が鳴り響く。するといくつかの足音が聞こえてきた。