鼻をすする音が聞こえた。 咲花は切り終わった野菜を鍋に入れていく。 「父も母も家には帰っていなくて、だから“受賞したよ”ってメモと文芸時代をリビングのテーブルに置いてその日は寝たんです。そしたら次の日の朝、父も母もリビングに居て、私は受賞したって報告しようとしたんだけど……」