午後1時50分。 男は駅前の喫茶店「ひまつぶし」の一番奥、窓際の席に座り人を待っていた。 春はまだもう少し先だというのに窓を通過して差し込む陽光がほのかに温かく、心地良い。 男は周りを見る。 空席を埋めているのは老人と主婦なのだろう女性達が大勢で、自分以外の26歳の青年はどこを探しても見当たらない。 そりゃそうだ、今は平日の午後だ。