『部屋を使うなら階段を上がって左の部屋』 多喜也の言った言葉を思い出す。 咲花が恐る恐る階段を踏み出すと、静寂の支配する新戸荘の中でギシシ……と軋む音が聞こえた。 誰も居ない一軒家の階段を一段一段、ゆっくりと上っていく。