日が暮れる。 紫色に染まる空の下で、駅前のビジネスホテルに泊まろうとしていた咲花はしかし、駅とは反対方向に歩いていた。 咲花の5歩先には先導する多喜也。 正確には計っていないが駅から20分程歩いた場所だろうかと咲花は考える。 「あの……“空いている部屋がある”って……どういう事なんですか?」