集中。 その言葉から、多喜也は咲花がどこか店に入って原稿を書こうとしている事に気付いた。 「家に帰って書かないの?あ、もしかして外で書かないと本気出せないタイプ?作家の中にはそういう人もいるよなぁ。アハハ」 一癖ある小説のタマゴだなと少し“(笑)”を込めて言ってみる。 アハハ…と笑う多喜也を後ろに、相も変わらず咲花は首をキョロキョロ動かして手頃な店が無いか辺りを見回していた。