「この辺には無いなぁ。駅前の方には3軒あるけど反対方向だしなぁ」 返事はするものの、咲花の後ろを歩く多喜也にはその表情が見えない。 ただ、キョロキョロと周りの建物を確認している様が目に入るだけ。 「あ、ファーストフード店だったら近くに1軒あるけど」 「ファーストフード店はダメなんです。この時間帯、学校帰りの学生が多くて集中できませんから」