多喜也が静かに、静かに呼吸と共にセリフを吐き出す。 「人は皆、自分の周りを守るだけで精一杯なんだ」 ナイフを構える動作。 「それが仲間であり、家族であり、国家だ!」 次の瞬間首に刃を突き立てられ殺されるかもしれない、という緊張感。 咲花は息を呑む。 先程肌寒い風が吹いたばかりだというのに、多喜也の額には汗が滲んでいた。 「争いが絶える事は無い。一時の平和の代償に、人は悲しみの連鎖を紡いでいく……。それが…人の限界だッ!」