賞に落選した男は消息を絶ち、そしてほぼ同時に多喜也の目の前に現れた受賞者の咲花は台本を提供してくれると言っている。 この複雑であまりにも出来上がった運命の巡り合わせに、多喜也の心臓は妙なリズムで高鳴っていた。 身体が疼く。 多喜也は居ても立ってもいられず、原稿用紙を咲花に押し付ける様に手渡してベンチから立ち、目を閉じた。 意識を集中する。