彼女は待っていた。 視線の先、木造一軒家の廊下側に立つ一人の青年をじっと見据えて、自分に投げかけてくれる言葉を待っていた。 しかし 「…………」 青年は黙って立ち尽くして、彼女の新たな出発を見送ろうとしている。 「……栄次が……教えてくれた様な気がするの」 たまりかねて彼女の方から口を開いた。