男はほっと胸を撫で下ろす。 もしも高級なブランド物の服だったとして多額の賠償金を要求され、さらに恐い彼氏まで連れてこられた日には貧乏人の自分は首を括るしかないと、男は一瞬考えた。 それでも迷惑をかけている事には変わりが無いので慌てて周りに飛んだA4程の大きさの紙を拾い集める。 「本当にスイマセ…………」 男の目が、手元の紙を見て留まった。 その紙に印刷された、何本もの梯子の様な模様。 原稿用紙。